オーラルフレイル予防 ~お口の体操を実践しましょう~
「オーラルフレイル」という言葉をご存知でしょうか?
直訳すると「お口の虚弱」(Oral=口腔 Frailty=虚弱)という意味で、
お口の機能が徐々に衰えていく状態を指します。
みなさんの周りに、こんな方はいらっしゃいませんか?
お食事中にものをよくこぼすようになった…
固いものが食べにくそう…
むせることも多くなってきて、さらには滑舌も悪くなってきた気がする…
些細なトラブルのように感じますが、
こうした状態が続くのは、歯やお口の働きが衰えてきたサインであり、
”オーラルフレイル”の可能性があります。
オーラルフレイルの症状の始まりは、
「老化の始まり」を示すサインとして注目されるようになってきました。
お口の機能が衰えると、食事や会話が困難になるだけでなく、心身の活力も失われ、
生活の質が大きく損なわれる可能性があると言われているからです。
私たちの歯や口は、それぞれが本来持っている「働き」があります。
大きく分けると、
「食べること」(噛む、すり潰す、飲み込む、味わう)
「話すこと」(発音、会話)
「感情表現」(笑う、怒る)
また「呼吸」という、生きる上で必要不可欠な機能も担っています。
食べ物が噛みにくく、柔らかいものばかり好んで食べるようになると、
お口周りの筋力低下につながり、噛む力も衰えてしまいますし、
摂食・嚥下のトラブルによる誤嚥性肺炎など、大きな病気に繋がってしまう恐れもあるのです。
また、噛むことは脳に刺激を与えます。
そのため、噛む機能が衰えてしまうと脳への刺激が減少し、
将来的に認知症などの脳のトラブルも引き起こされてしまいます。
このように、オーラルフレイルはお口の働きの些細な衰えから始まり、
心身の機能低下(フレイル)に繋がってしまうと考えられています。
さて、オーラルフレイルが心身に及ぼす影響についてお伝えしましたが、
ご自身やご家族のお口の状態が気になる方もいるのではないでしょうか?
そんな時、ぜひ試していただきたいのが「パタカラ体操」です。
「パ」「タ」「カ」「ラ」の発音で、食べるためのお口の機能を向上させるとともに、
現在の状態が正常かどうかを簡単にチェックすることができます!
「パ」… 食べ物を口からこぼさない唇の働き、口を閉じる力
「タ」… 上あごにしっかりくっつく舌の働き、食べ物をすり潰す・飲み込む力
「カ」… 誤嚥せずに食べ物を食道へと送る筋肉の働き
「ラ」… 食べ物をお口の中でまとめる働き、舌の力
5秒間に連続して何回発声できるかを調べてみましょう。
1秒間あたり6回(5秒間で30回)以上発声できれば健全です。
「滑舌」が低下していないかを調べるのにも有効です。
お口の機能が整っていれば、お身体全体の健康寿命を伸ばすことができます!
反対に、お口の機能が衰えると、話すことが減るだけでなく、栄養状態の悪化で筋肉がやせ、
体力が低下して外に出かけることも少なくなってしまいます。
つまり、歯や口の働きは「社会とつながる」ための重要な役割を担っているのです。
大切な方々が長く健康な生活を送れるように、オーラルフレイル予防への取り組みを実践しましょう!!
何か気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。